2007年8月15日、16日 新宿区四谷区民ホール
報告 特別上映会 「ひめゆりの風」
~Cocco・柴田監督・元ひめゆり学徒と共に~
みんなで観よう 映画『ひめゆり』
風のとおり道
(イベント当日に配布されたプログラムより)
2006年8月15日、沖縄の宜野湾市でCoccoさんのライブがありました。夕日が落ちて星が瞬く頃、Coccoさんが、あるお話をしました。今 日が8月15日であること、前日ひめゆりの塔を訪れたこと。そして、ひめゆりという場所が、みんなの祈りに満ちた、痛いけれどもやさしい場所になっていた こと。そのときに吹いていたいたずらな風のことを、彼女は後に、「ひめゆりの風」と呼びました。彼女は言います-
なんにも分かっちゃいない私は せめておばぁたちが好きだった歌をうたおう。
鮮やかに見えるようだ。
壕の中の笑い声。
スカートの裾にあの風が吹いたら またすぐ行くからね。
燦燦と陽の降り注ぐあの場所で待っててね。
今、祈りの溢れるあの場所で生きていて。
必ず 歌を届けるから。
あなたが笑ってくれる歌を 届けるからね。 - 「想い事。」より-
この想いがひめゆりに届く日が来ました。ひめゆりでは、資料委員会といって、元学生さんたちが十数人集まって、今の悩みや、未来への取り組みについて話し合う会があります。ひめゆりのみなさんは宜野湾市でのCoccoさんのライブ映像をこの会のなかで観たのです。
「きれいな人さ」
「沖縄の顔しているね」
みなさんは沖縄の方言丸出しのCoccoさんの話し方に大爆笑。
彼女の心の想いに触れ、やがて涙しながら聞き入っていました。
歌うこと-ひめゆりのみなさんが少女だった頃、出会ったいくつもの歌があります。
『ふるさと』『てんてんてマリ』『お菓子の好きなパリ娘』...
この『お菓子の好きなパリ娘』は、若い世代には馴染みのない歌です。私たちも、こんな可愛らしいタイトルの歌が、壕の中で歌われていたことに驚きました。
Coccoさんによって歌われたこの歌が、今年の1月に、ひめゆりへ届けられました。『お菓子と娘』これが曲の正式なタイトルです。資料委員会の日、集まったみんなでこの曲を聴きました。
「3,2,1、はい!」というCoccoさんの掛け声に続いて、ギターの軽やかな前奏が鳴りはじめると、驚いたことに、Coccoさんの歌声よりも先 に、みんなの歌声がハーモニーとなって響き渡ったのです。かつての学園跡地にある会議室でCoccoさんの歌声とひめゆりのみなさんの歌声は唱和して、響きあいました。みんな、その歌をよく覚えていました。
「ひめゆり平和祈念資料館への行き帰りの車の中で、
毎日この歌を聞いていたいなあ」
映画の中でこの歌について語っていた宮城喜久子さんはそう言いました。
2007年8月15日16日-ひめゆりの元学生さんたち、Coccoさん、日本の各地からたくさんの人が駆けつけて、今日ここに集まっています。ひめゆりの風が吹いて、Coccoの風が吹いて、たくさんの人たちの風が吹く場所
-ここを通り抜けた風が、またどこかへ届いたら...
それぞれの場所へ。
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